60年以上経っても色褪せないアバンギャルドなデザイン
時計ファンなら誰もが知ってる
角形防水クロノグラフの金字塔
世界初の自動巻きクロノキャリバーを角形防水ケースに収めて登場した「モナコ」。
2002年に斬新なオリジナルスタイルで復活を遂げてからの変遷と進化を追う。
革新的な血筋を受け継ぐ
完全再現と最新機能の2択
モナコが”革新的”といわれる理由は、キャリバー11(クロノマチック)の搭載にある。1969年に当時のホイヤー社が他社と共同開発したこのキャリバーは、それまで手巻きしかなかったクロノグラフの世界に風穴を開ける、世界初の自動巻きクロノムーブだった。さらには、当時不可能とされていた角形ケースでの防水仕様まで実現。
しかしながら、その姿があまりに斬新すぎたのか、クォーツショックの到来とともに初代モナコは短命に終わる。むしろモナコが注目を集めるのは、近年復活を遂げてからといえるだろう。
モナコが約20年ぶりに戻ってきたのは’98年のこと。この時は限定販売だったが、2002年にはレギュラーモデルとして復活する。しかも鮮やかなブルー文字盤、白い角形インダイヤル、オレンジ針と、初代を彷彿させる意匠でのカムバックだった。そのレトロだがどこか新しい姿に多くのファンが魅了され、たちまち人気の定番モデルとなる。
さらにモナコの”先祖返り”は加速し、’09年にはケース径も初代と同じ39㎜に。’15年には針やインデックス、オールドロゴといったディテールだけでなく、左リューズまでそのままの姿で完全再現されるにいたった。
一方、機構面では長く汎用品を改良したムーブを採用してきたが、’19年に高性能・高品質な自社製キャリバーホイヤー02搭載モデルが登場。こちらは3カウンターなど、多少アレンジしたデザインが特徴で、モデルチョイスの幅が広がる。どちらを選ぶにせよ、そこに革新の血は確実に流れているのだ。
オリジナルモデル
Original model
1969年
名優の着用で注目された角形レーシングクロノ
世界初の自動巻きクロノ、角形防水時計として誕生。ブライトリングらと共同開発したキャリバー11搭載により、プッシュボタンを右、リューズを左に備える仕様も斬新だった。1971年には映画『栄光のル・マン』で俳優スティーブ・マックイーンが着用。
2002年
復活後初のレギュラーモデル
1998年の限定復活を経て、この年オリジナル仕様のレギュラーモデルとして復活。ブルー文字盤にホワイトの角形インダイヤル、ラウンド形のミニッツサークル、オレンジの針と、象徴的なデザインが再現された。リューズはプッシュボタンとともにケース右サイドにまとめた。
キャリバー17
モジュール式 2カウンター
初代キャリバー11(クロノマチック)の共同開発者として名を連ねたデュボア・デプラ社協力のもと、汎用ムーブを改良して作り上げたモジュール式クロノムーブ。初代同様の2カウンターを実現し、長くモナコに搭載された。
2009年
オリジナルのケースサイズを採用
この年のモデルチェンジにより、ブルー文字盤や角形インダイヤルといったデザインのみならず、ケースサイズもオリジナルと同じく縦横39㎜を取り入れた。また、防水性能は30mから100mに向上し、プッシュボタンがやや大きく突き出た形状となるのも特徴である。
キャリバー12
ひと回り大きい新ムーブ
搭載するのは2カウンターのキャリバー12。前作(キャリバー17)と同じモジュール式のクロノムーブだがベースが異なり、サイズもひと回り大きな直径30㎜となる。シースルーバックの採用でその様子が鑑賞できるように。